私の小さい時の夢は、私のおばあちゃんのようになることでした。そこにいるだけで安心できる存在。私にとってはそんな人でした。社会的に地位のある人とか、人気職業とか、そういうことでなく、人としてこんな人になりたいという漠然とした目標でした。亡くなってから、もう20年以上経ちます。
ところが、先日、あるお店のカウンターで偶然居合わせたご婦人が、私の祖母を知っていると話してくださいました。
戦後はよくあることだったと聞きますが、奥様を亡くされた子連れの男性のもとへ嫁いだ祖母。連れ子の長男の下に次男をもうけましたが、自分の子は他家へ出し、夫が他界した後は、血の繋がらない長男とその家族とともに家を守り一生を終えました。祖母は、私とは血の繋がらない祖母でした。
そのご婦人はそのことをご存知で、立派な方でしたねと祖母のことを語って下さいました。
ご婦人は、早くにご主人を亡くされたたそうで、1人で美味しいものを食べられるお店ってそうそうないのよっておっしゃいました。
カウンターでの一期一会。
KAORU COFFEE ROASTERYのカウンターでも日々一期一会。素敵な出会いがあります。
美味しいコーヒーを飲みながら、安心できるお店。少しでも居心地のよい存在でいられたら、私の夢は少し叶っているのかもしれません。
(IKUKO)